最後の夏-ここに君がいたこと-

8月13日

強い日差しに照らされて、アスファルトがゆらめく。

首の後ろには既に嫌な汗が滲んでいる。

今日の最高気温は30度になるらしい。

最悪だ。
こんな日にまで学校に行かなくちゃいけないなんて…!


『受験生に夏休みなんて存在しない』
という、先生の言葉を痛感する。

朝早くから制服に着替えて、いつもの通学路を、いつもの数百倍重い足取りで歩く。

そもそも学校が遠い。


家がある商店街から、海沿いの道を通り抜け、町の後方にそびえたつ山の入り口まで、約15分。


学校は更に登った所にある所要時間は人によるけれど、私の場合10分は余裕でかかる。


こんな通学路、寄り道をしないで来いという方が無理な話だと思う。


だから、山を半分くらい登った所にある、今にも倒れそうな、この木造の建物は私たちにとって絶好の寄り道場所なんだ。

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