いちえ

距離



「ところで。るぅちゃんの田舎に行くんだって?」


「ん?うん。みんなでね」


「田舎言うな。田舎なめんな」




夏希のセリフに、過剰に反応する瑠衣斗が子供っぽく見える。


そんな瑠衣斗に、現金にも私は、可愛いな。なんて思ってしまう。



恋って不思議だ。


何とも思わなかった相手の言葉や態度に、胸が1つ1つ甘く切なく反応するんだ。



「なめてないよ。でも田舎じゃん」


「村民は?お隣さんが何キロも先とかなのか?」


「過疎化かとかあんのか!?申告な問題だよなぁ!!」



私は酷い事は何も言ってないけど、夏希と純平の言葉には思わず吹き出してしまいそうだった。


隣の瑠衣斗を見上げると、軽く眉間に皺を寄せ、ふてくされた様子がよく分かる。



瑠衣斗は家族や地元の話をなかなかしてくれないので、どんな家庭なのか、どんな場所で育ったのか、全く想像もつかない。


前に少しだけ話してくれた事があったけど、あれだけではまだまだ分からない。



「どんなけど田舎なんだよ〜」


分からないけれど、瑠衣斗と慶兄の実家へ行ける事が、嬉しい。



みんなと一緒に居れる事が、嬉しい。


「お土産楽しみにしててね」
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