モラルハラスメントー 愛が生んだ悲劇

愛し合う二人


倉澤直哉、歳は33歳。

ハウス・クリーニング会社を経営して10年目。

「何処よりも安く、丁寧に」をモットーに掲げるその会社は

彼という人徳か、素晴らしい社員と沢山の顧客を抱え、目覚ましい成長過程にあった。

倉澤の仕事に対する前向きな姿勢や、時代の流れを常に意識しているというだけの熱心な勉強ぶりなどを見ても、充分に尊敬できるに値する人間だった。


あのバーでの出会いから、倉澤と裕子が深い仲になるのに
時間はかからなかった。


倉澤は、容姿がいい男に有りがちなナルシストなところはなく、体育会系かつ、不器用で恥ずかしがり屋な一面もあり、そんな彼に裕子は強く惹かれていった。

一方の倉澤も、一目見た時から裕子を気に入り、話題に富み、男顔負けの勢いで働く女性は理想的だと言った。


裕子は倉澤となら、絶対に幸せになれると直感を抱いていた。



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