オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




あたしたちはスタバがテナントで入ってるショッピングモールのパウダールームで、メイクについてああだこうだと言い合ってた。


 とはいってもあたしは見てるだけで参加しない。


「ねえ、キャンもリップぐらいしなよ。ウチの貸したげるさあ」


ユリはマスカラを仕舞いながら、本を読んでるあたしに言ってきた。


「え、あたしはいいよぉ。可愛いユリと違って土台が悪いもん」


「んなことない!ウチだって元は大したことないから。化粧で偽造してるだけだって!」


 なんか訳のわかんないこと言いながら、ユリはプラダのポーチから口紅を出して台の上に並べる。


「ほら、好きなの使いなよ。シルキーピンクなんて超可愛くない?グロスも貸したげるって」


「あたしはローズ系の方がキャンに合うと思うんだけど」


 お化粧を終えたらしいチカが横槍を入れてくれる。


「ほら、ちょっと上向いて!チカがやったげる。キャン今までお化粧したこと無いもんね」


 幼なじみにまでそんな事言われたら、あたしも観念するしかなかった。
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