グリンダムの王族

クリスの恋

楽しい一日を過ごしてグリンダム王城に戻ったクリスは部屋で1人寝台に寝転がっていた。

帰ってきた自分に何か問いたげな宰相を追い出して1人になってぼんやりしている。
食事が運ばれてきているようだが手をつける気にはなれなかった。

リズの笑顔を繰り返し思い出しては、ため息をつく。

―――俺、結婚するならああいう子がいいなぁ、、、。

そんなことを考えていた。

平民だからなのだろうか、リズには気取ったところが無くて、純粋で可愛らしい。
自分と同じ歳で、仕事をしているというのも尊敬してしまう。
それでも苦労を感じさせず、とても楽しそうだった。

自分も平民であれば、ああいう子と出会う機会もあっただろうと思うと、
今更ながら“王族”に生まれた自分の運命を呪う気分になっていた。



その頃、裏庭では近衛騎士隊長ジョルジュが、彼の前に整列した隊員を前に話をしていた。

近衛騎士隊長は40歳のベテラン騎士である。
その歳にしてはまだ若々しく、彼の金色の髪と髭からはまるで獅子のような印象を受ける。

「王からの命令により、明日はライラの水害の調査に向かう」

そう言ってその視線を動かし、「アラン」と声をかける。

呼ばれたアランは「は!」と返事をした。

「お前の部隊から数人同行しろ。明日の朝早くに城を出る」

アランは隊長の言葉に「かしこまりました」と言って頭を下げた。
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