キミは聞こえる

一章-2

(めんどくさいなぁ)

 帰り道、渡された勉強合宿の承諾用紙に視線を落としながら泉はうなだれた。

(だけど行かないとおばさんに迷惑かけるし)

 理事長宅に居候している手前、学校行事には絶対参加しなければなるまい。理事長の顔に泥を塗ることだけは避けなければ。でなければ置いてもらえなくなる。

 そう思うと今からの三年間が憂鬱でならなかった。

 泉は基本、団体活動が苦手だ。

 体育祭も、文化祭も、合唱コンクールとやらも、合宿も、旅行の類もろもろすべて。誰かのことを否応なしに気にしなければならない活動ははっきり言ってしまえば嫌いだ。

 面倒くさい、この一言に尽きる。

 協調性などという迷惑きわまりない言葉を一体だれが考えたのか。

 自分にもっとも欠乏しているものだとはわかっている。だが補おうとはわずかにも思わない。
 まったくいまいましい存在だ。

 教育者は子供達に人との接し方を学んでほしいのだろう。

 今回の勉強合宿も、主だったテーマは高校での学習の仕方を身につけようというものだが、その合間合間にはちゃんと(迷惑でしかない)レクリエーションが挟み込まれている。
 クラスの親睦を深めるためだ。

 ――二日目午前、宝探し。


 アホか。

(……ヤだなあ)
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