恋口の切りかた

二、養子

 
 【漣】

えーと、刀丸が親父殿の子供になるってことは、だ。


「刀丸! おまえオレの弟になるってことじゃねえか!」

俺は舞い上がって、「えっ?」と戸惑(とまど)った顔をする刀丸に抱きついた。

「やったな!」

「えっ……? やっ……レンちゃん、ちょっと……」

刀丸がもがいた。
頬を赤くして、大急ぎで俺から離れる。

──なんだ……?

「よし! そうと決まれば、だ」

親父殿はそんな刀丸の頭をがしがしとつかんで、

「奈津に言って、着替えさせろ。
武士の子なら、それらしい格好をせんとな」

ちなみに奈津というのは俺の母上様だ。


それを聞いた刀丸は表情をくもらせた。
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