『縛』

/明け方の頃・・・

オンナを堕とす
絶好のタイミングを


彼は、よく知っている


一瞬・・・
期待とまではいかないけど
こんな綺麗な子となら・・って
思わなかったといえば、
嘘になる。


お互いが、
よく知ってるであろう
このタイミングで、
彼は、やはり、仕掛けて来た。

あの、一瞬の迷いが、
彼を受け入れる事に
つながった。


唇の柔らかさを、
確かめるようなキスを、
繰り返す。


そして、それは、

当然の様に、
口内を貪るようなものに
変わっていく。


私は、

自分が、
軽そうに見えるのも、
知っている。

そういうところが、
今も尚、残ってるコトも
わかってる。


それに、応じられないのは、

手順の直ぐ先で、
行き詰まる事になるから。


ただ、それだけ。


一夜限りの関係を、
演じるコトも、
ちゃんと付き合ったとしても、
そういう関係には、
なれないから、
いつも、早めに拒むだけの事だ。

相手に、期待をさせないように。


別段、志央だけ、
避けたりするつもりはない。


彼とはいわず、
相手が幻滅した時に、
冷たくあしらわれる事が
怖いんだ。



 
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