溺愛窒息Kiss

亮*side



「ずっと、ずっと深海君が好きだったの!」


下校時間がとっくに過ぎ、誰もいない教室で、

彼女は言った。


さっきまで一人で係の仕事をしていたのに。

なんでこうなったんだ?


頭で色々考えながらも、俺は言った。



「ごめん……。俺誰とも付き合う気ないから」

それを聞いた彼女は伏せていた顔を上げ、瞳を潤ませながら言った。


「どうして……?」

「それは言えない」



どうして?

どうして誰とも付き合わないのかって?


憂が好きだから……


「そんなの、そんなの納得できないよっ!!」

溜まりに溜まった涙を零して、彼女は俺に抱き着いてきた。


急すぎる行動に、どうすることもできない俺。


「あたし……あたしほんとに深海君が好きなの……大好きなのっ」

泣きながら、抱きしめながら、彼女は言った。


やっと我に返った俺は、彼女を体から離し

「ごめん」


ただそれだけ言った。




< 23 / 66 >

この作品をシェア

pagetop