初恋タイムスリップ【完】

バレンタイン

「ごめんね、遅くなって」


「大丈夫か?なんかあった?」


心配そうに成海くんが顔を覗き込んできた。


「ううん…何も」


私は、成海くんから目をそらした。





「何かあったら言えよ」



「うん…」



私は下を向いたまま、




またいつものように手を繋いで歩きだした。




「そうだ、昨日突然電話して…ごめん。美音のお母さん、怒ってた感じだったけど大丈夫だった?」



「あ…

せっかく電話してくれたのにごめんね。
お母さんちょっと今…具合があまりよくなくて」


「そうなんだ」


絶対にお母さんの事は知られたくないと思った。




それ以上、成海くんは聞いてこなかった。


そして、それっきり会話はとまったまま、

家の前の細い道のところに着いてしまった。



そして私は、昨日渡せなかった


小さなチョコと、マフラーの入った茶色の紙袋を、


成海くんに渡した。



「あの・・・これ



一日遅れちゃったんだけど・・」











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