飴色蝶 *Ⅰ*

愛してる

あの日から、朱莉とは
会長に知られること無く
関係を続けていた。

朱莉の部屋で、逢うのは
仕事を追えた彼女を庵が
一人で送り届けた時だけ

後は、ホテルで逢うか
こうして、たまに
彼女が庵の家を訪れて
来てくれる。

仕事柄、聞き上手な朱莉
のペースに無口な庵も
知らず知らずの内に

何でも
答えてしまっていた。

ただ、生い立ちや
家族の事

どうして、この世界に
足を踏み入れたのか
   
その部分に触れられると
庵は口を硬く詰むんで
しまう。

「イオリって、とっても
 素敵な名前だね」

シャツを着る庵は答える
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