私は嘘で出来ている。

「別れようか」


口から微かに零れた。


「…は?なんで?」


夕方のオープンカフェは混み合い、通りにも帰宅する人々が流れていたが、空気に紛れた私の声は京也にしっかり届いていた。


『全身嘘になっちゃうわよ』


そうならないように、踏み出す為だった。


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