花とアイドル☆《完》

ビターなマネージャー

     ☆☆☆☆☆



首都高を走る車内。


拓斗は腕時計に目を落として、
顔をしかめた。


「うっわ、イチバン混んでる時間
じゃん!

大丈夫なの?」


朝からの、郊外でのロケが1時間もおしてしまい。

次の仕事である、都内での雑誌の
表紙撮影に間に合うかどうかが、
非常に怪しい状況なのだ。


しかし、マネージャーの朱鷺田奏
(かなで)は、いつもと同じ涼しい
表情で、


「何とかする。

お前も、今のうちに食事を済ませ
てしまえ。

そこに弁当が置いてあるだろう」


ハンドルを握ったまま、振り向き
もせずにそう言い放った。
< 194 / 474 >

この作品をシェア

pagetop