子供は大人に恋をする

おはよう

僕の朝のお仕事は、浅田さんを起こす事です。浅田さんはサラリーマンなのにお寝坊さんなので、僕は毎日教えてもらった時間通りに浅田さんの体をゆさゆさします。
でも浅田さんはたくさんゆさゆさしてもなかなか起きてくれません。僕はこういう時、困ります。浅田さんが起きてくれないと、僕の朝ごはんもなくなっちゃうからです。
朝ごはんが食べられないのは困るので、一生懸命ゆさゆさしました。うぅん、って唸る声! もうちょっと頑張ったら、起きてくれる合図です。僕はもっとゆさゆさしました。


「浅田さん、朝ですよー」

ゆさゆさ。


「あーさーだーさーん」


ゆさゆさゆさゆさ。


「ん……わかった、起きる、起きるよ」


そう言うと浅田さんはやっと体を起こして僕の頭をなでなでしてくれました。朝ごはんが食べられないのが困るより、僕は浅田さんになでなでしてもらうのが何より好きです。えへへ、って笑ってたらわきの下に手を入れられて体がふわって宙に浮きました。そのまま浅田さんのお膝に乗せてもらって、ぎゅうーってしてもらいます。浅田さんは起きたばかりなので、僕よりずっとずっと熱かったです。
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