逢瀬を重ね、君を愛す

想いは夜桜より



★*★*★*★*★


「彩音、こっち。」


薫に手を引かれて丘をあがる。

繋がれた手を見ると、昼に桜乃に言われた事が頭をよぎる。


『帝の事が好きなのね』


――んな事ないよっ!!


頭を振って桜乃の言葉を消す。


「彩音…大丈夫か?」

「んっ…だ、大丈夫!!」


見られてたぁー!!と思わず顔が赤くなる。

でも薫は気にする素振りはせずに、また前を向く。


「そっか。ならいいよ。」


そしてまた進んでいく。
行き先は告げられていない。

どんどん闇の中をすすみ、明かりがあるとすれば空に輝く星と月だけ。

どんどん不安になっていく気持ちから、握る手に力を込めた。


「ね、薫…どこ行くの?」

「ん…?もうちょっと。」


――ごめん、答えになってない。


教えてくれないつもりなのか。
彩音はあきらめて、ただ薫に連れていかれるがままついていった。
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