゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
□■第1章■□

「ひとりの時間」




「今日も利用者…ゼロ。」



日の暮れかけた、静かな図書室にじんわりと広がるつぶやき。



開け放っていた窓から入ってくる風で
パラパラと読みかけのページがめくれていく。



フゥとため息をつきながら、座っている回転式のイスの背もたれに思いっきりもたれる。



ぐるっと見渡した室内は、古い本棚が並び所狭しと置いてあるテーブルには誰一人として読書している人もいなければ、居残り勉強をする人もいない。



ここ一週間、休み時間この場所に座っていても…利用していくのは5人くらいだ。



そんな寂しい図書室に好き好んで、図書委員までして居座る変わり者は私くらいしかいないだろうな。



あ、自己紹介遅れました。


私、この学校の2年生で
里村 杏(サトムラ アンズ)。


一応、図書委員の委員長をしてる。
(委員長って言っても、他の委員なんか存在するのかどうだか。)



何でこんな寂しい図書室にいるのかって?そんなの答えは簡単。


私は本が好きだから。もっと言えば、
本が友達みたいなものだから。



そう、私には友達と呼べる友達がいない。




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