キス魔なアイツ

*誰に何と言われようとも



オレは自分でも気持ち悪いくらいに変わったと思う。

思いが通じあったあの瞬間から、ひと時も環を離したくねぇ。

ずっとずっと。くっ付いていたい。

そのかわいく動く唇もオレを誘うんだ。見ればいつでも奪いたくなる。

甘甘に思いっ切り甘やかしたくなる。何でも言う事を聞いてやりてぇ。

オレを『好きだ』と言ってくれた環が。かわいくて、かわいくて。

あぁ、オレは本当はずっとこうしたかったんだな。

一緒にいる時は肩を抱いたり、腰を引き寄せたりして、体全体で環を感じていないと気が済まない。

密着した部分が熱くて溶けてしまいそうだ。

「環。大好きだよ」

素直になったオレの気持ちは、締まりがなく垂れ流しだ。誰に何と言われようが止まらない。

オレは環に夢中なんだ。

「っん…」

その甘い声を聞いていいのもオレだけだ。

もう手離すもんか。

「オレに捕まったんだ。
覚悟しろよ。環」

「大好きだよ。銀先輩」

満面の笑みでオレを見上げ、誘うかのように動く環の唇に、オレはまたかぶり付いた。



side銀次 end


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