二藍蝶

鋭い視線†藍

高校生になって

初めての夏。

「カヤノママ
 行って来ます」

「あんまり
 遅くなっちゃ駄目よ」

「うん、分かってる」

家を出た私は、自転車に乗り
坂道を勢いよく走って行く。

加速する車輪

暑さで汗ばむ体に
向かい風が心地よく
私の髪を靡かせる。

爽快な気分・・・

坂道を、降り終えた頃
携帯電話の着信音が
鳴り響いた。

自転車に跨ったままの私は
斜めがけのお花のコサージュ
の付いた小さなバックから
携帯電話を取り出した。

切れる着信音・・・

そのままの姿勢で少し待つ。
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