狐面の主人








「さぁさぁさぁ!そこ行く旦那!
ちょいと寄って行きなって!
新しく入った娘だよ!
いい女だろう?
買って行かないかい!?」


女郎屋の商人の声が響く。

今日も一人、また一人と、遊女達は売られていくのだ。



「…ほうほう、どれもこれも別嬪だのぉ…。」


そして立ち寄った常連の男。
檻の中をくまなく覗き込み、目当ての女を捜した。


そして、一番端に陣取っている、一人の女に目を止めた。


「…おい、そこの女。」



女は、ゆっくりと顔を上げた。


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