envyⅠ
優さん
メール
それから数日はほとんど誰にも会うことなく過ごした。
夕食の時に楓さんに二・三回あったり、ゆいとくんに会ったりはしたけど。
久しぶりに会ったゆいとくんは心配したんですよと言ってくれた。
ここに来てそろそろ二週間ぐらいたったなぁ……。
なんて考えごとをしていると机の上にある白い携帯が震えた。見ると『今すぐ俺の仕事部屋に来い』と絵文字も何もないそっけない優さんからのメール。
この携帯はこの前のようなことが起こらないように、連絡を入れるようにと優さんが持たせてくれたものだ。
私は慌てて部屋を出て優さんの部屋に向かった。
優さんの部屋には、優さんの肩を揉んでる妹と当然ながら優さんがいた。
優さんは私に、ん。と仕事の書類っぽい
紙の束を渡し、「それ。楓さんに渡して」と戸惑う私に言う。
「え、用ってこれですか?」
思わず出たのは間抜けな声。
「何。どうせ暇なのに文句言うんだ?」
と眼鏡の位置を直しながらムッとして言ってもやっぱり優さんは様になってて。
別にそう言う意味じゃないですけど……留美に頼んでも良かったんじゃ………、なんてぼそぼそ言う私に
「コイツは他にやることがあるんだよ」
留美ばっかり働かせて悪いだろ、と。