【完結】キミと運命と裏切りと涙。

Side麻衣








「もうこんなことやめろ。自分を傷つけるだけだ」


あたしを抱き寄せた先輩は、最後にそう呟いた。




「……あたしは傷ついたって構わない」


自分を犠牲にしなきゃ生きていけないんだもん。




「お前がそう思ってたって、そうじゃない人間だって居る」


……なのに返ってきた答えは、全然予想もしていなかった答えだった。




「……先輩になにがわかるのよ」


こんなことしか言えない自分を、あたしはつくづくイヤな人間だと思う。




「俺にはお前がかわいそうで見てられない」


先輩はあたしを怒るわけでもなくそう言った。
< 62 / 544 >

この作品をシェア

pagetop