木苺の棘
曖昧な木苺

憂鬱な空

八重と初めて出会った
小学校二年生の春・・・

私は、知らない顔が並ぶ
教室の中、憂鬱で
堪らなかった。

今にも、雨が降り出しそうな
空を見上げる。

帰りたい・・・

父の転勤で、生まれ育った
大好きな街を離れ、この街
に来た。

この街の印象は、子供の
私にも分かるぐらいに冷たく。

住み慣れた、あの街に
帰りたいと毎日毎日、願った。

「ママ
 学校行きたくない」

「アリス
 そんなん言うたら
 あかんよ、がんばり」
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