ハルジオン。

(三)

(三)


二年ぶりに再会した百合子の顔は、あの時と同じ表情をしていた。

鉄橋の影で見せたあの顔。

もちろん、靖之と同じように、いやそれ以上に大人の女になったと思う。

髪を直す仕草とか、どことなく色香を湛えた瞳とか。少しウェーブのついた髪型や、薄く引いた口紅や、お洒落になった服装とか。

「久しぶり」

などと言って、少しはにかんだ顔で微笑んで見せている。


「男に抱かれたんだ」

とは言わなかった。

「変わんないな」

両手をジーンズに突っ込み、達也は少しぶっきらぼうにそう言った。

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