インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~

第2章/第3節  愛のない家

「人の愛を知らずに育った。だから、お前は汚い女なんだ。ちっとは反省しろよ。この汚れた女が」



いつだったか
別れ話のとき
そんなふうに
あたしのことを呼んだ男がいた。



ひと言もしゃべったこともない、

いままでだれにも話したことのない、


あたしの過去。




それをさもすべてわかったように、

男はそう吐き捨てた。




あたしの過去。




思い返したくもない。



だけど、
なにかの拍子に
たまに思い出す。




ビデオテープにでも録画したように

記憶が鮮明に………。





児童養護施設。





物心ついた時には
そこにいた。




似たような境遇の子供がたくさんいた。



どんな事情で彼らがそこにいたのかまでは知らない。



ただ
あたしのいた施設に限っていえば、


彼らはよき友達であり
ライバルだった。



いつも、
みんな仲良しかと思えば
そうでもない。
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