あひるの仔に天使の羽根を

・予感 :玲Side

 玲Side
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「自動操縦は効果ない。このままだと、船は沈むだろう。

そこまでして、近づけたくないらしい。

カナンに――」



刺客は船に細工をし、エンジン系統を破壊したのだろう。



「相手を――違えたな」



櫂はそう笑うと、僕を見る。


了解した僕は目を伏せ、電磁波による力の放出を想起させる。


途端僕から拡がる、青い光。


光は触手のように広がり、暗がりだった船内に灯りがついた。


そして櫂は――。


外に向け手を伸ばし――風を集める。


自らを風を集める媒介とし、そして拡張させて緑色の光で船を包み込む。


何万トンもの船は海に沈むことなく、波を滑って移動する。


外は激しくなってきた雨。


荒れる波は、櫂の妨げにはならない。


船内には、雨滴1つ入ってこない。


風力は水力に勝る、見事な櫂の盾。


1階のキャビンに出て辺りを窺った僕に、芹霞が追いかけてきた。


思いがけず、2人きり。


桜も煌も、敵味方の死体処理をしている。


そうした処理は、慣れきっているはずだ。



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