カラカラライフリズム

わがままな人形女

――大虐殺だ。

晴喜の部屋に踏み入った時、樋口は思った。

ただし、バラバラに引き千切られて転がっているのは、人間ではない。
人形の首や手足だった。

それもただの人形ではなく、
一体数十万はくだらない球体関節人形だったが、
人形は修復不可能なほど、粉々に打ち砕かれていた。


「……またやったのか」


人形の無残な瓦礫の中で、膝を抱えて俯く影に尋ねた。

影は顔を上げると不機嫌そうに、


「別にいいじゃない。
……どうせ、私が作ったんだから」


晴喜はそう言って、また俯いた。
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