【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
あてどない景色
「はぁ……」
カバンを持つ手を持ち替え、校舎を後にしたところで、深い溜め息が出た。
鼓動が速いのは、早足でここまで来たからか、
不意にユキトさんと顔を合わせたからか。
それとも、秋月会長への苛立ちか。
確かに生徒会室に行ったときの秋月会長の態度を思い出すと、はらわたが煮えくり返りそう。
なにも、あんな無視紛いのことをしなくてもいいじゃない。
完全無視じゃないとはいえ、いかにも『何しに来た』と言わんばかりのあの態度に、むしゃくしゃする。
自分はいつもいつも、私のクラスや家にまで押しかけて、ずかずかとテリトリーに踏み込んでくるくせに。
もしかしたら仕事の邪魔をしたかもしれないけど、
出てけと言わんばかりのあの冷酷さは、ないと思う。
愛想の良い秋月会長なんて想像出来ないし、
誰にでもあの態度なんだろうけど、
ちょっとくらい──
そう思ったところで、思考を追い払うように、ぶんぶんと頭を振った。
ちょっとくらい、何よ。
自分で自分を叱りとばす。
何か期待してたとか、そんな事あるはずない。
私が、なんであんな自分勝手なヤツに……!