クリスマス・ハネムーン【ML】
事件

穏やかな午前中



 耳元では、静かに。

 寄せてかえす波の音がする。

 目蓋を開けば、目の前は大きな窓で。

 寝そべったベッドから見上げる快晴の空には。

 陽が黄色く、高く昇っているのが判る。

 時間は……だいたい昼前ぐらいか?

 目をやや下に向ければ。

 窓から見える範囲の全部が青く輝く海で。

 水平線の向こうには、真夏の入道雲が見えた。

 外の景色があまりにキレイで。

 ここが、どこか一瞬、判らなくなったほどだった。

「ハニー?」

 僕をこの南の島に連れ出した張本人の姿は、無く。

 やけにベッドが広かった。

 僕は、ハニーを探しながら、ついでに風でも部屋に入れようと。

 ベッドから起き上がろうとした、そのとたん。

 そのまま、僕は、転げ落ちてしまった。


「うわわっ~~!」


 世界が、一回転した。

 驚いて、思わず。

 僕は、情けない声を上げて、落ちたままの形で床に大の字になり。

 天井でゆったり回る扇風機を眺めてた。

 尻がずきずきと、痛む。

 腰が重くて、下半身に力が今一つ入らない。

 静かに、意識を内側に向けると、かなり下半身がマズいコトが判る。

 ………この疼きに似た痛みは。

 今ベッドから落ちた衝撃ではなく。

 昨夜からの飲酒のダメージじゃなかった。

 これは、ハニーと愛し合った……印。

 本当に、ハネムーンに来たんだ、なんて。

 実感が、変な所で湧いて来た。

 しかも、脈拍みたいに一定のリズムを刻んで襲って来る痛みは。

 お互い疲れきるまで、深く、激しく愛し合った証拠だったから。

 昨夜のことを思い出して、顔が、ぼんっと熱くなった。

 

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