愛しいわがまま。



待ち合わせの18時ちょうどに着いた私。



―――カラン

「いらっしゃいませ」


店内はお客も多く賑やかな雰囲気。

その中に遊輝の姿は見えない。



「?まだ来てないんだ…」



"お好きな席へどうぞ"


店員さんの爽やかな笑顔に迎えられた私は、少し奥にある目立たない席に座った。






―――――――――



―――――――――………





6時半になっても遊輝は現れず連絡もない。

メールしたって返事はない。
  


「…………」


――カランッ


(なんか私って待たされてばかりじゃない?)



「…もう帰ってやる」


いい加減イラッとした私は、30分前に頼んだジュースを飲み干して立ち上がろうとした。



――…そのとき






「凌」



そんな聞き慣れた声が聞こえて、
私の動きは止められてしまった。




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