眠れぬ夜は君のせい

├退屈過ぎる日常

退屈過ぎて笑えない。

「行ってらっしゃいませ、正宗様」

メイドの送り迎えを無視すると、俺は車に乗り込んだ。

俺が車に乗り込んだのを確認した後、執事運転役の車が音を立てて発車した。

本当に、退屈だ。

人間はあまりにも退屈過ぎると、あくびが出てこないらしい。

「もう少しでつきますよ、正宗様」

執事――谷田部が後部座席に座っている俺に向かって声をかけた。

雇われてる身分のくせにいいもんだと、俺は心の中で谷田部に毒づいた。

「なあ、谷田部」

俺はそれまで閉じていた口を開いた。
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