龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】

「本来、この羽竜本家の嫡男は亡くなった夫です。その夫が実の娘のように可愛がっていた梓を圭吾さんの嫁に迎えるのが筋ってものでしょう」


押しが強いな~このオバサン


「圭吾がその気だったらとっくの昔にそうしています」

「一緒に住まわせて既成事実で結婚に追い込むなんてやり方が汚いでしょう」


あの~ 『既成事実』はありませんから


「毎年毎年二週間も圭吾に付きまとって、既成事実も作れない方がどうかしています」


えっ? ひょっとして伯母様、わたしと圭吾さんに『既成事実』があると思ってるの?


「うちの梓は、そんなはしたない真似は出来ませんから」


わたしだってそんな真似出来ないから悩んでるのよ、オバサン


「圭吾の前の恋人のモノマネをしているようではダメでしょうね」


えっ? あら本当。

髪型、メイク、服装、全部優月さんのコピーだわ


「圭吾さんの好みに合わせるのは当然でしょう?」


いや、コピーすればいいってもんでもないでしょう

さっきから無言だけど、梓さん自身はどう思っているんだろ

まあ、わたしだって口を挟む余地ないけど


和子さ~ん

どうやって収拾つけりゃいいのよ、この泥仕合!
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