君の花嫁

初対面





それは突然のことだった。


「え?明日?」


参考書から顔を上げ、部屋の入口に立つ両親を見上げる。


「でも、明日は塾があるから……」



そう。私は先日、高校三年生になった。泣く子も黙る受験生だ。
受験勉強のために休日は塾に通っている。
明日だって午前中から塾なのだ。
父も母もそれは分かっているはずなのに……。
二人は明日、大事な予定が入ったので塾を休んで欲しいと言ってきた。


「ごめんね。塾はお休みして、ちょっとついて来て欲しい所があるの」


母が手を合わせながら言ってくる。
急にどうしてだろうと戸惑ったが、まぁ何かしら予定があるのだろう。
二人にお願いだと、そう言われると仕方ない 。


「いいけど、どこ行くの?」


塾を休むくらいだ。行く場所くらいは聞きたいし気になる。


「まぁ……、来ればわかるさ」
「?うん」


歯切れの悪い、何だか含む感じが気にはなるがそれ以上話してはくれず、結局どんな予定かわからなかった。
なので両親の言うことに素直に頷いておく。



それが“あんなこと”になるなんて…。


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