狼様の愛のカタチ理論

呉羽と扇李








―――――……














それはずっと、ずーと昔の話


ある部屋に黒い髪の男と赤い髪の男がいた



『なぁ、扇李』


『なんだ』



呉羽の言葉に扇李は相変わらずの無表情で言う


『あの花嫁、なんで切ったの?』



長い黒髪を手でもてあそびながら言う呉羽


この会話は、何回目だろう。数える限り、今日で13回目の台詞に少しあきれながらも言った言葉は扇李にとってはたいした質問なんかじゃない


その証拠に扇李はピクリと動かない




『人間の花嫁候補にしては美人じゃん。候補として育てられただけあって礼儀も出来てた。なのになんで?』


『なんで?…ただ興味がなくなっただけだ』


『それ、いつも言う』


『…なら、身体の相性が合わない』


『嘘だな、あの女は抱いてないくせに』



俺は知ってるんだ、そう言いたそうに微笑む呉羽に扇李はため息をはいてから呉羽をみる




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