heart to heart ＋love☆

★高校生篇

初めてのお泊りです。

「えぇ！？柚希、行けないの！？」


彩乃たちが目を丸くして言った。

私は、みんなの反応に少し驚いたと同時に、申し訳ない気持ちになった。

そう。

何に行けないかというと…


「楽しみにしてたじゃん？修学旅行」

「う、うん…そうだけど」


行先は沖縄。

旅行なんてしたことないし、もちろん飛行機にだって乗ったことない。

小学校も、中学校も、修学旅行に参加できなかった。

沖縄なんて、私にとっては海外旅行と同じ。

楽しみだったんだけどなぁ。

でも、主治医の吉岡先生が許してくれないから、仕方なく断念。

むこうで何かあったときが怖いし…。


「柚希がいないなんて、つまんないよぉ～」

「ありがと。ごめんね？」

「柚希が謝ることないけど…」


みんなにションボリされて、私もションボリしちゃう。

修学旅行の楽しさを知らないまま、私の青春は終わっちゃうのね～って。



現在３年生の５月。

彩乃とは同じクラス。

知紗と里穂は別々になっちゃったけど、今でも遊んだりする。

律とはもちろん別のクラス。

“もちろん”というのは、律は特進クラスだから私には無理…。

科目数が違うし、進度も違う。

同じ高校なの？ってくらい。


「え？修学旅行行かないの？」


律にも同じことを言われた。

早々に部活を引退して、今は予備校に通う毎日の律。

一緒に駅まで帰るのが日課になってる。


「だってぇ～…先生がダメって」