あやとり
第一章

優と雅

天はニブツを与えないっていうのは大嘘だ。

現に私がこの世に生を受けた時には、ひとつの体でナンブツも持っている人間が、自分の姉として存在していた。

私には、相反する二つの感情が同時に胸の中に居座ることがある。

憧れと嫉妬、優しさと意地の悪さ、これも全て天からの贈り物ならば、この厄介な感情は生を受けたもの皆が、持ち合わせているというのだろうか。

優ちゃんの凛とした美しい横顔を眺めながら、そう思い続けていることを優ちゃんにだけは気付かれたくない。

彼女に対して、永遠に越えられないコンプレックスを持ちながらも、その存在をなくすことは考えられない。

優ちゃんは私にとって、いつも優しい味方であったからだ。
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