Tolie.

捕まる





重たい荷物を持って
走り続けた。




明かりのない場所を求めて
夜中の街中を走って、走って、




「 ・・っは・・・はぁ 」




喉が痛くて、足が震えて
冷たい風が気持ちよくて
足を止めた。




春先といってもまだまだ
気温は低いし、風は冷たい。
厚着をしたうえに走ったせいで
体はひどく熱かった。




いつの間にか、人通りの少ない
知らない道に迷い込んでいて
電灯の下に座り込んだ。




出ようと思えばいつだって
家から出ることはできた。


”優しいお母さんに戻るかもしれない”


小さな期待を抱いて
頑張る決意をしたのに
私は逃げ出してしまった。





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