秘密な彼氏

Chapter5.5

その翌日、俺はある人を待っていた。

「待った?」

「そんなに待ってないですよ、真未さん」

俺の前に現れたのは、かつてつきあっていた恋人の沖津真未さんだった。

「何だか久しぶりだわ」

そう言って、真未さんは向かいの席に腰を下ろした。

「すぐに帰りますから、安心してください」

そう言った俺に、
「そう?」

真未さんが言い返した。

そうって、あんたは人妻でしょうが。

口で言いたかったけど、心の中で思うだけにした。

「昨日、あやめと会ったそうですね」

そう言った俺に、
「あら、バレちゃった?」

フフッと、真未さんはイタズラっぽく笑った。
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