四竜帝の大陸【青の大陸編】

「やっぱり、夢落ちは……なしか」

爽やかな朝。でもちょっと寒い。
外だしね。
晴れで良かった!
雨だったら部屋に毛布を戻しにいけないし。
借り物だから、濡らすわけにはいかないわけで。 

「りこ」
 
あ、ハクちゃん !
抱っこして寝ちゃった、私?

「おはよう、ハクちゃん。ごめんね、窮屈だったでしょう?」
 
体を起こしつつ、ハクちゃんを膝の上に置いた。
ハクちゃんが夢じゃ無くて、良かった!

「いや、窮屈ではなかった。少し困っただけだ」

ハクちゃんは私の膝の上に……変な格好で座った。
お尻をついて両足を上げ、手はグーにして万歳していた。
足先もグーにしてる。
変だけど、かわいい!
体重は軽い。恐ろしく軽い。 
膝に乗ってるのを感じる程度。
鳥とかって飛ぶために骨がすごっく軽く出来てるって、中学生の時に習った気がする。
ハクちゃんもふわふわ飛んでたし。
小鳥のように愛らしいおちび竜のハクちゃん……乱暴に扱ったら、骨が折れちゃいそう。
小鳥、鳥……鶏肉……爬虫類って食べる国が多いけど、この世界でもまさか?
竜を食べる習慣があったりして!?

「ふふっ……まずそうだね、ハクちゃんって」

冗談で言ったのに。

「りこは我を食いたいのか? 味は保障できぬが良いぞ。どこが喰いたい?りこの好みの部位をもぐから。さあ、遠慮なく言え」

ハクちゃんは両手両足をにぎにぎしつつ、ホラーなことを言った。
私は絶句した。
まずそうだねって言ったのに、何で食べたいのかって答えるかな。
いやいや、つっこむのはそこじゃ無い!

「た、食べたくない!」
「人間は朝食なる習慣があるのだろう? 異界人が竜を食べるとは知らなかった。竜の他は何を食べるのだ? 今後の為にも聞いておきたい。我の身体ばかりでは栄養が偏るだろう? ああ、我としては一番美味な部位を食させたい! りこが‘もうハクちゃんしか食べたくない‘と思ってくれたら!」

私の食べたくない発言を綺麗にスルーしたハクちゃんは、握っていた手を開き自分の真珠の様な輝きのある体をせわしなく触り始めた。
うわっ、かわいいな~この動き。
かわいいからちょっと様子を見よう。
訂正はすぐ出来る!
この超かわいい姿を堪能しちゃいましょう!
< 16 / 807 >

この作品をシェア

pagetop