四竜帝の大陸【青の大陸編】

「なるほど! すごいね、ここのトイレって」

セクシー熟女の教えてくれたトイレの使い方は近代的というより未来的……いや、ミラクル?
私は便座に座って桃色の紙をくしゃくしゃ揉みながら、扉の向こうで待っているハクちゃんに話しかけた。ハクちゃんにはかなり離れてても私の声が聞こえるみたい。
ハクちゃんに意識をきちんと向ければ、声に出さなくても念話は成立してるし。

「りこ、りこ。早く出て来い」
「はいはい。ちょっと待ってね」

さっきのやり取りを思い出し、急ぐことにした。
揉んでいた紙はとても柔らかくなり、ソフト・ダブルのトイレットペーパーみたいな感触。
うん、これは快適。
次に水色の紙を便座に入れると……紙が水に変化し、一気に流れた。
けっこうな水量。
マジックみたい!
だからタンクがなかったんだ、不思議な紙! 
クリーム色と桃色の紙は、つまりトイレットペーパー。
クリーム色は男性用。桃色は女性用。
使用感は同じだけど、そういう決まりだそうだ。
そして水色は水!
これは本当にびっくりした。
摩訶不思議よね~。
洗面台に移動し(広いんだよね、ここ)手を洗った。
陶器製で薔薇の絵が全体に施されていた。
庭園で見た花かな?
蛇口は二つ。
ピンクの取っ手はお湯。
青は水。
お湯が出るなんて科学力は日本と同じ……?
でも電気が無かったし、服装も中世みたいだった。

「まだか? りこ、りこ~!」

ハクちゃんが痺れを切らす前に急がねば! 
私は顔を適当に洗い、備え付けのタオルで拭き拭き洗面所の扉を開けた。

「無事か、りこ! 困らなかったか? うまくトイレはできたか?」

当たり前でしょうが! 
いくつだと思ってるのよ、26だよ。
しかし……君は困ったちゃんだ。
さっきも大変だったし。




私のトイレ宣言にハクちゃんはかなり慌てた様子で、彼等(イケメン君・美少女・他3人)に念話を使い言ってくれた。
ハクちゃんが彼らに向けた念話の内容は知らないけど、すぐに美女が顔を上げ何か言った。
うわぁ……すごい胸! 
肩がむき出しのセクシードレス。
スリットから艶かしい脚が……なんかエロかっこいい人。
 
「りこ。この者がトイレの使用方法を説明する。我が通訳するから問題ない。こい」
「うん」

他の人は顔も上げず、全く動かない。
なんか異様だけどトイレが先だし。
言葉と身振り手振りで美女が説明してくれる。
それをハクちゃんが私に教えてくれた。
さあ、やっとトイレタイム開始……にしようとすると困った事態になった。
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