トマトときゅうり
2、全て変わっていく。

「非常にお似合いです」


 私はきゅうりを好きになってしまった。

 とても混乱したし、色々時間はかかったけど、今ではよく判った。

 こんな苦しいの、恋以外では有り得ない。

 これから、どうしたらいいんだろう。

 きゅうりは、もてる。はっきり言ってもてる。

 身長も高いし、仕事は出来る。しかも、顔も頭も憎たらしいほどに上質ときている。

 私より美人で私より可愛くて私より優しいたくさんの女性が(しかも、彼女たちは正社員だ!就活に失敗しなかったってだけでも既に負けてる)、きゅうりを気に入っていて、アプローチをかけている。


 ・・・考えなくても明らかじゃん。

 がっくりと肩を落とした。

 指舐められたとか・・・確かに、私が勝手にみた夢ほどには嫌われてないにしても。

 ・・・・・あああああ~・・・23歳、バイトの私。容姿、普通(悪くはないと思いたい)、頭、普通(せめてバカではいたくない)、職業、アルバイト(・・・・ああああ~!!)、そして、赤面症(・・・醜い)。

 駄目だ、何か、好きになった時点で負けてる気がする・・・・。全てのものに。うー。

 そうなることが判っていたからあんな男性だけは好きにならないでおこうと決めたんだった、そういえば。

 だけどあの吸引力。ブラックホール並みの吸引力・・・。動物の雌である限り、やはり優秀な雄にひかれるのは遺伝子レベルで仕方がないことなのよ、と自分を慰める。

 だけど、彼にとって私はただのワン・オブ・ゼム。それは嫌っちゅーほど判ってます~!!


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