†穢れなき小鳥の殺し方†

 罠


次の日から俺は営業が始まった。

貰った名刺にはご丁寧に携帯のメールアドレスもあったから。

とりあえずはお礼のメールから。

これに返信は期待しない。

向こうも社交辞令だって知ってるだろうから。

だから、週末にまたメールする。

あと、イベントのときとか、

加奈子さんが一人で来た時――。


「ご指名、ありがとうございます」


俺はニッコリ笑って彼女を迎える。


「加奈子も来てるって」

「えぇ、もう翼さんたちと盛り上がってますよ」


それから同じテーブルに。

売り上げが翼さんに付けられて構わない。

俺の目的は『金』じゃないから。

< 32 / 203 >

この作品をシェア

pagetop