恋色カフェ
◇時の砂

再会



■□■□■□■



はぁ、と吐いた息が、白く散る。

この建物から出てくると、どうも自動的にため息が出てしまう。


「……こういうご時世だから、仕方ないか」


自分にしか聞こえない声で呟いて、無理矢理気持ちを奮い立たせてみても何だか虚しいだけ。



──今、私は無職。


前の職場を辞めてから何とか派遣で繋いではきたけど、その運もここで尽きてしまった。


『次の派遣先、手配できる目処が立たないんだよね』


派遣会社からの、無情な通告を受けてから半月。


無職の砦とも言われるこのハローワークに、藁をもすがる思いで通ってるのに、希望の職は皆無……。

このままじゃ食費どころか、アパート代だって光熱費だって払えない。


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