囚われジョーカー【完】

━perfume━





――――…三浦さんは、何度も何度も私との繋がりを求めた。


手放した意識の先で、私は三浦さんと行為に堕ちた日を思い出していた。




――――――――――
―――――――…
―――――…



「菫ー。」


私の名を呼ぶ彼と出会って数ヶ月。季節は夏の終わり頃だっただろうか。



バイト終わり、明日香さんに食事に誘われた帰り道。携帯の画面に綴られた番号に電話をしようか迷っていれば、ロートーンで名を呼ばれた。



声の主を探すためキョロキョロと辺りを見回せばすぐに発見。丁度、電話をしようとしていた相手だったから少し驚いた。




「三浦さん。」

「偶然ー。どしたの?」

「バイト先の先輩と、食事してました。」

「ふーん。」



自分から聞いてきたくせに興味なさげにそう言う三浦さん。この頃から、この態度は健在だ。





< 176 / 393 >

この作品をシェア

pagetop