ランデヴー
【first date】

<道徳に反するということ>

月初は仕事が忙しい。



都内の某有名私立短大卒業後、新卒で入った会社は、既にこの4月で4年目に突入した。


予定ではそろそろ結婚して寿退社していたかったのに、入社後しばらくして高校時代から付き合っていた彼と別れたことで、そんな夢も見事に砕け散った。


3年もの長い年月を共に過ごしてきたのに、終わりはあっけない。


私が仕事を持ち、彼が学生であることによって歪みが生まれ、どうしようもなくすれ違ってしまったのだ。



彼の仕事に対する理解は薄く、私にとってはそれが苦痛で仕方がなかった。


仕事で約束に遅れては怒られ、遅くまで引き止められては疲れ果て……。



学生の彼にはどこか余裕がある、でも私は彼とは対照的に日々追い詰められていた。



心も体も、ゆとりがない。



気楽な大学生の彼への自分勝手な嫉妬と、日に日に増える仕事へのストレス。


毎日慣れない仕事でくたくたになって働く私に彼の存在はじきに重くなり、私から別れを告げて、終わった。
< 3 / 447 >

この作品をシェア

pagetop