軽業師は新撰組隊士!

彼女は刀を持たない武士になる




―――あれは、刀を持たない武士だと思った。



(とある男視点)



俺は幕府に仕える武士だった。

京の奴らは、反幕府を応援するような奴らばかりで、苛ついていた。


そんなとき
奇天烈な服を着た女に会った。

憂さ晴らし。
この女と遊べば、ちったぁ、この苛々もなくなるだろう。と、声をかけた。


結局、邪魔されちまったがな。


しかし、その日の夜。


俺はその女に気絶させられ、気がついたときにゃ、脇差しが無くなっていた。


刀を盗られなかっただけマシか、と諦めた。


―――刀が武士の命なんて、俺は思ってねぇ。


少なくとも、この時代じゃ、刀を持って、自分を武士だと言い聞かせているだけのちっせぇ人間ばかりだ。


何が刀だ。
何が命だ。


てめぇらは、威張り散らす権力こそが欲しいんじゃねえか。


「…俺も、人のことは言えねえがな」


それは俺も同じで
だからこそ苛々するんだ。



だが
その一年後―――…


あの女に
再び出会った。



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