琥珀色の誘惑 ―王国編―

(8)魅惑の夜

「アル? ねえ、アル、あの……」

「風呂場で見たお前の姿が忘れられないのだ……どうしても」


ミシュアル王子は舞に体重を掛け、脚の膝から下をゆっくりと撫でる。舞は背筋のぞくぞくする感覚に、爪先までギュッと力が入った。

あの時、咄嗟に抱きすくめられた。

離れたら見えると言われたけれど、本当は全部見られていたのかも知れない。そう思うだけで、舞の身体は火照るように熱くなって来る。


「み、みたの?」 

「言っておくが……視線は逸らした。わざと盗み見るような真似はしていない。だが、お前の背中が鏡に映っていた」

「わたし、そんなに綺麗じゃないから……幻滅したでしょう?」


するとミシュアル王子はガバッと起き上がり、ついでに舞も起こした。

そして、暗がりにもわかるほど血相を変えて舞に詰め寄ったのだ。


「綺麗ではないと誰に言われたっ!? お前は私以外にその肌を見せたのか?」

「アル……声、大きいよ」


舞の指摘にミシュアル王子は声を潜め、


「誰か、お前の肌を見た男がいるのか? 答えるのだ、舞」


それでも琥珀色の瞳をギラギラさせて舞を睨んでいる。


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