溺愛プリンス

王子の気まぐれ



――――――
――――



「……」



のそのそとベッドから起き上がる。
ふと、視界に入った時計。



ん?




「……9時…………9時ぃ!!?」



うそ……!寝過ごした!











時間ギリギリに教室に飛び込むと、窓際に座っていた茜がパッと手をあげた。


「志穂、こっちこっち」


茜の隣に座ると、そのまま崩れるように机に突っ伏した。


「間に合ったぁ……」

「大丈夫?珍しいね、志穂が時間ギリなんて」

「んー……ちょっと昨日寝不足で……」



心配そうな茜の声に、顔だけを何とか向ける。


「寝不足?」

「ちょっと考え事してて。でも大丈夫だから」


重たい頭を何とか持ち上げて、苦笑いを浮かべた。
そんなあたしに、茜はいきなり目の前でパチンと両手を合わせた。



「志穂!ごめんっ」

「へ?」



キョトンとしていると、茜は遠慮がちにあたしを覗き込んだ。



「王子にね?……志穂のアパート教えたの、あたしなの」

「えっ」


ギョッとしたあたしに、茜はさらにその身体を小さくした。


「ほんとにごめんっ」


何度も謝る茜が、なんだかおかしい。
思わずクスリと笑みをこぼすと、今度は茜が目を見開いた。



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