ランデヴー II

＜戻れない道＞

「え、うっそ！ マジで！？ いつの間に……！」


いつもの居酒屋で、みっちーが手にしていた煙草を落としそうな勢いで私達2人を交互に見た。


それは賢治が「俺ら、付き合うことになった」と、枝豆を口にいれながらさらりと言った後のみっちーの反応だ。



「だから急に合コン行かないって言い出したんだ？」


「あ、うん、その……ごめん」


何だか少し気恥ずかしくて、思いっきり目が泳いでしまう。


別に悪いことをしている訳ではないが、独り身のみっちーのことを考えると、飲み仲間同士でくっついてしまったということにも気が引けた。



「いいよいいよ、良かったじゃん！ お似合いだと思うよ？」


ニッコリと笑いながら甲高い声で祝福され、ホッとする。


気を取り直したように煙草を吸い始めたみっちーは、「私も頑張らなきゃなぁ」とぼやくように呟いた。



「あ、くっついたからって私のことないがしろにしないでよ？ たまにはお酒付き合ってよねー」


「何言ってんの、当たり前じゃん。別に何も変わらないよ」


そんな寂しいこと言わないで欲しい。
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