愛は満ちる月のように
第1章 離婚

(1)幻の妻

――幼い頃、心の中にいつも満月があった。

辛いことや悲しいことに遭遇しても、欠けてはまた満ちていく。

朝の来ない夜はない、そんな言葉を信じていた。

いつからだろう……心の月は欠ける一方だ。

それはしだいに薄くなり、今はもう、何処にも見えない。


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