好きになっても、いいですか?

02


「戻りましたー」
「あ、お帰りなさいー。珍しく時間掛かってたわね?」

庶務課に戻って疲れて自分の席につく麻子に、先輩社員の安積泰恵《あづみやすえ》はそう言った。


「えぇ……ちょっと」
「何?具合悪い?大丈夫?」


泰恵は年齢も“生きていれば”自分の母に近く、とても安心する。
仕事は丁寧に教えてくれるし、お菓子や小物などいつも麻子にも用意してくれてくれたりした。

庶務課は人数が少なく、麻子と泰恵のほかには2人。

一人は肩書は庶務課課長だがのほほんとした50代のおじさんと、30代半ばの独身女性というメンツだ。

そんなアットホームな雰囲気のこの課が、麻子には居心地よくて、入社してまだ3ヶ月ちょっとだったが十分溶け込んでいた。

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